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知っておきたい!家族信託の5つのメリット

「生前対策として家族信託があると聞くが、どんなメリットがあるのですか」という疑問を持たれる方もおられると思います。

今回は家族信託のメリット・手続について説明していきます。家族信託のメリット・手続について知りたい方は本ブログを見て参考にしていただけると幸いです。

 

目次

1 家族信託とは
1-1 家族信託とは?
2 家族信託の5つのメリット
2-1 認知症対策
2-2 柔軟に財産管理を任せることができる
2-3 第三者の関与がない
2-4 本人が亡くなった後の次の相続の指定
2-5 倒産隔離機能による信託財産の保護
3 家族信託の手続きの方法と流れ
3-1 信託契約書の作成について
3-2 信託登記について
4 まとめ

 

1 家族信託とは

「そもそも家族信託ってなに?」

銀行に行くと家族信託の案内やチラシが置いていたり、テレビで家族信託についての特集をやっていたりと街中で最近よく目にする「家族信託」。遺言は聞いたことあるし、よく聞くのでなんとなく分かるけど、家族信託って聞くと「投資?」「何ソレ!?」と思う方は多いかと思われます。そこでこの節では家族信託について分かりやすく説明していきます。

1-1 家族信託とは?

信託とは、財産を、信頼する人に託し、自分又は他の人のために管理・運用してもらう制度です。多くの方が思い浮かべると思われるのが投資信託です。

投資信託は投資信託運用会社等が利用者から預かった金銭で有価証券(株など)や不動産などを運用しています。これは、「商事信託」という種類の信託となります。

今回解説する家族信託は、自分の老後等に備えて所有している不動産や預貯金などを信頼できる家族に託し、管理等を任せる方法で、「民事信託」という種類の信託となります。投資信託などの商事信託とは全く違うのでご注意下さい。

2 家族信託の5つのメリット

「生前対策として家族信託があると聞くが、どんなメリットがあるのですか」という疑問を持たれる方もおられると思います。

以下では家族信託のメリットについて説明していきます。

2-1 認知症対策

本人が認知症などにり患して判断能力が低下すると財産管理ができない場合があります。家族信託では、認知症になる前に不動産や預貯金などを信頼できる家族に託し、管理等を任せることができるため認知症対策の一つとして有効です。

しかし、家族信託は財産の管理が主な目的のため、入院・施設の入所の手続き等を代行することができません。そのため、身上監護が必要な場合は任意後見を利用するべきと思われます。

2-2 柔軟に財産管理を任せたい場合

家族信託は柔軟な財産管理が可能です。

具体的には任意後見制度では、家庭裁判所への報告義務等があり、財産の積極的な活用や相続税対策が難しいですが家族信託は上記のような制限が少ないため柔軟な財産管理が行える場合があります。

ただし、柔軟に財産管理をするには有効な信託契約書を作成する必要があります。

2-3 第三者の関与がない

家族信託以外の認知症対策として利用される任意後見では任意後見監督人選任の申立てが必要となります。任意後見監督人は家庭裁判所が選任します。また任意後見監督人は弁護士や司法書士などの第三者から選任されます。

そのため家族信託は任意後見と比べて第三者に関与されないという点でメリットがあるといえます。

2-4 本人が亡くなった後の次の相続の指定

例えばA、B(Aの配偶者)、C(AとBの子)及びD(AとBの子)がいたとします。Aが所有している不動産をBに相続させた後、Cに相続させたいとします。

上記のAの希望は遺言書に定めることはできません。遺言は自分の相続にしか効力が及ばないためです。しかし、家族信託の場合、Aを委託者兼受益者、Cを受託者とし、信託契約で「Aが亡くなったあとはBを受益者とし、Bが亡くなったらCに受益権が移る」と定めます。この場合、不動産は最終的にCのものとなります。

2-5 倒産隔離機能による信託財産の保護

受託者が自分の借金等で自己破産する場合、信託財産は守られます。受託者の財産と信託財産は法的に分けられているため託した財産が破産等の影響を受けることがないからです。

 

なお、信託財産は受益者の「信託受益権」に形を変えています。そのため受益者が強制執行などを受ける等の場合は、財産を差押えられる可能性があるため注意が必要です。

また、債権者を害する目的をもって締結された信託契約については「詐害信託」として見られる可能性があるため、契約を取り消されるおそれがあります。

3 家族信託の手続きの方法と流れ

「家族信託の手続はどうすればいいの?」と思われる方は多いと思います。そこで、この節では家族信託のやり方について説明します。

3-1 信託契約書の作成について

信託契約書は必ず公正証書で作成する必要はありません。しかし多くの信託銀行等で信託専用の口座を作成の際に公正証書で信託契約書を作成することを求めるため公正証書で作成する必要があります。そのため、信託専用の口座を作成には注意が必要です。

公正証書で信託契約書を作成するためには公証人との打ち合わせが必要です。具体的には信託契約書の案を作成し、提出することです。

以下は司法書士法人やなぎ総合法務事務所が使用している信託契約書の案です。

                                                                                                                                                                          令和5年第     号                                                                                                                             信託契約公正証書

本職は,当事者の嘱託により,令和 年  月  日,下記の法律行為に関する陳述の趣旨を録取し,本公正証書を作成する。

本   旨

委託者 ○○ ○○(以下「委託者」という。)と受託者 ○○ ○○(以下「受託者」といい,第6条により後継受託者が就任した場合は,当該受託者を指して「受託者」という。以後の後継受託者についても同様とする。)は,将来の委託者の意思能力の減退又は喪失にかかわりなく生活の基盤並びに快適で幸福な生活・福祉の確保等,本信託契約第1条の目的達成を祈念して以下のとおりの条項により,信託契約(以下「本信託契約」という。)を締結する。

以下略

信託契約案について打ち合わせが終わると、日時を定め公証役場での本人の意思確認が行われ、信託契約公正証書に当事者が署名押印をすることになります。その際、印鑑登録証明書と実印(または運転免許証・マイナンバーカード等の顔写真付き公的身分証明書と認印または実印)、作成費用が必要となります。

3-2 信託登記について

信託財産に不動産がある場合は登記の申請が必要です。以下は信託登記の申請書です。

                登 記 申 請 書

登記の目的   所有権移転及び信託

原因      令和 年  月  日信託

権利者     大阪府○○市・・・

(信託登記申請人)○○ ○○

義務者     大阪府○○市・・・

○○ ○○

添付情報

登記原因証明情報     登記識別情報(登記済証)

信託目録に記録すべき情報

印鑑証明書      住所証明書      代理権限証明書

会社法人等番号

令和 年  月  日申請 大阪法務局 御中

代理人  大阪市阿倍野区阿倍野筋三丁目10番1号

あべのベルタ 3009号

司法書士法人やなぎ総合法務事務所

代表社員 柳 本 良 太

連絡先の電話番号 06-6643-8200

(会社法人等番号 1200-05-020857)

課税価格 金 円

土 地  金 円

建 物  金 円

登録免許税 合 計 金 円

移転分 登録免許税法7条1項1号により非課税

信託分 金 円

土 地 金 円

建 物 金 円

その他事項 送付の方法により登記識別情報通知書及び登記完了証の交付を求めます。

送付先 代理人事務所

事前通知による手続きを希望する

不動産の表示

上記の添付情報のうち登記原因証明情報と信託目録に記録すべき情報の記載例は以下のとおりです。

                登記原因証明情報

1 登記申請情報の要項

(1)登記の目的 所有権移転及び信託

(2)登記の原因 令和  年  月  日信託

(3)当 事 者 受託者 (住所)

(氏名)

委託者 (住所)

(氏名)

(4)不動産の表示 後記のとおり

(5)信託目録に記録すべき情報 後記のとおり

2 登記の原因となる事実又は法律行為

(1)委託者  と受託者  は、令和  年  月  日、本件不動産について後記信託目録に記載すべき情報のとおり管理又は処分を目的とする信託契約を締結した。

(2)よって、本件不動産の所有権は、同日信託を原因として委託者から受託者に移転し

た。

令和  年  月  日 大阪法務局  御中

上記の登記原因のとおり相違ありません。

受託者 (住所)

(氏名)

委託者 (住所)

(氏名)

不動産の表示

不動産番号

所   在

地   番

地   目

地   積

信託目録に記載すべき情報

1 委託者に関する事項

(住所)

(氏名)

2 受託者に関する事項

(住所)

(氏名)

3 受益者に関する事項

(住所)

(氏名)

4 信託条項

(1)信託の目的

委託者は,財産の管理,運用し,又は処分することを目的として,委託者の財産を信託し,受託者はこれを受託した。

本信託契約の締結により,委託者及び受益者の意思能力が減退又は喪失した場合においても,円滑に委託者の所有不動産を管理・運用・処分し,受益者の快適な生活を維持することと将来の発展を願って信託されるものである。

受託者は,本信託契約の受託者として,委託者及び受益者の快適な生活を確保し,本信託契約を最大限に有効的に活用し,委託者及び受益者の身上監護に努め委託者及び受益者が心身共に健やかに過ごせる環境を整えることを旨として任に当たるものとする。

以下略

なお、住所証明情報は受託者(財産を預かって(信託されて)管理・運用する人)の住民票、印鑑証明書は委託者(財産を預ける(信託する)人)の印鑑登録証明書のことです。

4 まとめ

以上が、家族信託のメリット・手続についてのお話でした。

ここまでのお話をまとめたものが以下の表です。

家族信託とは? ・家族信託とは自分の老後等に備えて所有している不動産や預貯金などを信頼できる家族に託し、管理等を任せる方法
家族信託の知っておきたい5つのメリット ・認知症対策

・柔軟に財産管理を任せることができる

・第三者の関与がない

・本人が亡くなった後の次の相続の指定

・倒産隔離機能による信託財産の保護

家族信託のやり方 信託契約書の作成

・信託契約書は必ず公正証書で作成する必要はない

・多くの信託銀行等で信託専用の口座を作成の際に公正証書で信託契約書を作成することを求められる

信託登記について

・信託財産に不動産がある場合は登記の申請が必要

・主な必要書類は①受託者の住民票②委託者の印鑑証明書③登記原因証明情報③登記識別情報または登記済証④固定資産評価証明書等

家族信託の契約は人によって内容は全く別になる、いわゆる「オーダーメイド」な契約となります。

よって記載する内容や文言はかなり高度になってきますので、家族信託の経験豊富な事務所に依頼する事をオススメします。

司法書士法人やなぎ総合法務事務所では、大阪(阿倍野区・阿倍野、天王寺)、東京(渋谷区・恵比寿、広尾)事務所にて「無料相談・出張相談」も受け付けております。どんな些細なご相談も親身になり耳を傾け、どのようなご依頼でもお客様のご希望、目的に近づけるよう励みます。お気軽にご相談、お問い合わせください。

「無料相談」のご予約は下記の「空き状況検索」からできます。是非ご活用ください。
この記事の監修者

代表社員  柳本 良太(やなぎもと りょうた)

柳本 良太

「法律のトラブルで困っている人を助けることができる人間になりたい」という思いから18歳の時に一念発起し、2004年に宅地取引主任者試験に合格。続いて、2009年に貸金業務取扱主任者試験、司法書士試験に合格し、翌2010年に行政書士試験に合格。2010年に独立開業し、「やなぎ司法書士行政書士事務所(現:司法書士法人やなぎ総合法務事務所)」を設立し、代表社員・司法書士として「困っている人を助ける」ことに邁進する一方で、大手資格予備校講師として多くの合格者も輩出。

その後、行政書士法人やなぎKAJIグループ(現:行政書士法人やなぎグループ)を設立、桜ことのは日本語学院の開校などより広くの人のための展開を行いながら活躍中。

モットーは「顧客満足ファースト」と「すべてはお客様の喜びのために」。

 

<保有資格>

・宅地取引主任者(2004年取得)

・貸金業務取扱主任者(20009年取得)

・司法書士(2009年取得)

・行政書士(2010年取得)

<所属法人>

司法書士法人やなぎ総合法務事務所 代表社員

行政書士法人やなぎグループ 代表社員

やなぎコンサルティングオフィス株式会社 代表取締役

桜ことのは日本語学院 代表理事

・LEC東京リーガルマインド資格学校 元専任講師

専門家に無料で相談できる「無料相談」をご利用ください

当事務所では、相続・生前対策でお悩み・お困りの方、トラブルを解決したい方のために、相続・生前対策の専門家が無料(初回60分に限り)でご相談に対応させていただく「無料相談」を実施させていただいております。

<相談場所>

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私たちは、「顧客満足ファースト」のモットーのもと、お客様にお喜びにいただけるサービスの提供のため、丁寧にヒアリングさせていただきながら、相続・生前対策のご相談に対応させていただいております。

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