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【家族信託解決事例】〜大阪市 M様の事例〜

収益不動産等の信託 ~大阪市 M様の事例~
委託者:母様 
受託者:長女様 
信託財産:母・父・次男夫婦と孫が住んでいる家
               収益不動産 マンション
               実家
               預金

【相談内容】

母・父・次男夫婦と孫が実家で同居していましたが、母・父・次男夫婦ともに仕事をしておらず、母が切り盛りしている収益不動産の収入に頼って暮らしている状態でした。
母は80歳を超える高齢だったこともあり、自分で収益不動産の管理をし続ける自信はないため、同居している次男夫婦に収益不動産の管理をお願いするも、関心はなく、なかなかやってもらえませんでした。

長女・長男は独立し、それぞれ家庭を持っていますが、長女は母に頼まれ、収益不動産の管理を行うことに承諾してくれていますので、お願いしようと思っているとのこと。
長女は、自分達が管理する以上、同居している次男とも平等に財産を分けてほしいと思っておりますが、兄弟仲は良いのでもめるようなことにはなりたくないと考えています。

母は、長女に収益不動産の管理を任せている間に、徐々に次男夫婦が自立をしてもらい、夫婦の貯蓄を増やしたいという思いがあります。

【解決事例】

民事信託で、娘さんに不動産の名義変更をしました。

収益不動産の家賃の入金口座は、 “委託者母受託者娘信託口”の普通預金口座を開設し、長女に管理をしてもらうことで、母ができない状態であっても長女が代わりに入出金ができるようになりました。

委託者:母  受託者:長女  受益者:母
信託の目的:不動産の処分と母及び母の同居親族の生活費・医療費等
信託終了事由:母の死亡 等
帰属権利者:長女・次男・長男 (次男は自宅、長男・長女は収益不動産を引き継ぎ、その他財産は全財産を含め、信託終了時の財産価値により平等になるよう分配)

 ※父については、保険等を活用し、生活資金の確保・遺留分対策を行う

【効果】

信託を原因として長女に所有権移転することで

➀贈与税がかからず、贈与より低い登録免許税で名義移転をすることができました
②信託で預けているだけの状態なので、不動産取得税もかからず名義移転できました
③信託契約費用はかかったが、贈与と比較すると安価に済ませる結果となりました
④信託し、収益不動産の管理権がお母様ではなく長女に移ることで、次男夫婦の経済的自立を促すことができるようになりました
⑤長女が管理できるようになり、成年後見の心配も減りました
⑥母死亡時の財産の分け方にも、母自身の意向を尊重して、遺言代用とすることができました

【今回のポイント】

収益不動産を保有している方が、どうしても避けることができない高齢による自分で管理ができなくなるという事態。
不動産の収益が上がっている間は、売却をする予定はなく、その金銭を生活費にも充てているため、なんとか管理を家族に託したいと思っておられる方も多いです。
しかし、実際には、認知症が発症したり、意思表示ができなくなると、不動産の修繕や万が一の場合の保険の受取・賃貸・売却・賃料回収等どうなるのか・・・という様々な障害が出てきます。

こういった問題を事前に信託で、財産を長女に預けておき、かつ、母の意向を長女に託すことで解決することができました。
また、収益不動産を管理するという大変なお仕事を引き継ぐ子どもと、そうでない子供がいると、子供達が相続財産で争いになることが予想されます。
そこで、今回は、家族信託で遺言の代わりに引き継ぐべき人・財産の分け方を決めておいたというのがポイントと言えるでしょう。