1、 家族信託とは?
「家族信託」とは、資産を持つ方(この人のことを、一般的に「委託者」といいます。)が、特定の目的に従い、その所有する不動産や預貯金等の資産を信頼できる家族や親族(この人のことを、一般的に「受託者」といいます。)に託し、その管理・処分を任せる仕組みのことをいいます。
家族・親族に管理を託すので、高額な報酬は発生しません。したがって、資産家のためのものではなく、誰でも気軽に利用できる仕組みです。
「家族信託」は、NHKの「あさイチ」や、「クローズアップ現代+」、そして弊所代表司法書士の柳本がゲスト解説として出演したテレビ朝日の「おはよう朝日です」など、近年、数多くのメディアで取り上げられており、日増しに注目されている制度です。
では、なぜこのように「家族信託」が近年注目を浴びているのでしょうか?今回は、そのポイントを3つにまとめてみました。
2、 ポイント1:成年後見制度では対応できない財産管理の要望に応えられること
民法には、成年後見制度という自ら財産管理を行うことが困難な人を支援し、保護する制度が存在します。
もっとも、この成年後見制度は、認知症などの発症により、自ら財産管理を行うことが困難となった後に初めて利用することができる制度です。そのため、未だ財産管理を行うことが困難となっていない場合には、この制度を利用することができません。
また、成年後見制度を利用した場合、本人の所有する不動産を売却や賃貸といった処分行為を行うに際し、都度裁判所の許可が必要となります。しかも、裁判所も、本人に不動産以外預貯金などの財産が他にある場合、許可を出してくれない場合があり、許可・不許可の判断を出すまでに一定期間を要する場合があります。
結果、売り時や貸し時のタイミングを逃すこととなる場合があります。
これに対し、家族信託制度を利用した場合、不動産等の資産を受託者であるに信頼できる家族や親族に託すこととなるため、不動産の売却や賃貸等の処分に際して、裁判所の許可はいりません。その結果、売り時や貸し時のタイミングを逃すことなく、不動産の売却や賃貸をおこなうことができ、柔軟に財産管理を行うことができるようになります。
3 ポイント2:遺言では対応できない細かい要望に応えることができること
民法には、財産を承継する方法として、「遺言」という制度があります。もっとも、この「遺言」については、一代先の相続人までしか財産を承継することができず、二代、三代先の孫やひ孫に財産を相続させることができません。また、「特定の目的のために遺産を活用して欲しい」など被相続人の細かな要望に応えることも困難な制度です。
これに対し、「家族信託」では、契約によって二代、三代先の将来の承継先まで指定した財産承継が可能です。また、「家族信託」は契約なので、委託者の細かな要望にも応えることが可能です。
4、ポイント3:委託者の意思に柔軟に対応できること
上に記載したこと以外にも、「家族信託」では、委託者の意思を十分に反映した契約を自由に締結することができます。
例えば、障がいを持った子をもつ親が、子のために親の死後、子どもに安定した生活を送らせるにあたって、信頼できる家族や親族に財産を託す内容の契約をしたり、自分のペットの管理を自分の死後に信頼できる人間に託す内容の契約を締結するなど委託者の意思を柔軟に汲んだ「家族信託」契約を締結することができます。
5、 まとめ
以上のように、「家族信託」は、これまで民法などの法律では対応困難であった事柄に対し、柔軟に対応することができる非常に画期的な制度といえます。
もっとも、近年注目を浴びてきた制度だけに、未だ対応できる専門家が非常に少ない状況にあります。
弊所では、この「家族信託」を早期から取り組んできた結果、これまでに法人・個人を含む様々なお客様からお問い合わせやご依頼を多く頂いております。
些細なことでも構いませんので、お気軽にお問い合わせいただけましたら、弊所の家族信託に精通している司法書士が迅速かつ丁寧にご対応させていただきます。