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【家族信託事例】親が収益不動産をもっていたOさんの場合

 

今回は司法書士法人やなぎ総合法務事務所で実際にあった相談の事例についてお話したいと思います。

 

「親が所有している不動産を貸しているが、その不動産を相続したけど、自分で管理することが難しい。どうすればいいの?」等お悩みの方がおられると思います。

 

今回は司法書士法人やなぎ総合法務事務所で実際にあった相談についてお話しすることで同じような状況・お悩みを持つ方の参考になれば幸いです。

 

目次

  • 親が収益不動産をもっていたOさんからの相談内容
  • 親が収益不動産をもっている場合に必要な対策とは

○  収益不動産の売却

○  任意後見を利用する

○  家族信託を利用する

  • 親が収益不動産をもっていたOさんの解決ケース

○ 収益不動産の売却・生前贈与のご提案

○ 任意後見・家族信託のご提案

  • まとめ

 

親が収益不動産をもっていたOさんからの相談内容

最初にご相談内容の概要は以下のとおりです。

 

O様のお父様がお亡くなりになられたことについてご相談                                                    ↓

お亡くなりになられたお父様の不動産の相続登記(名義変更)手続きが完了、

O様のお母様が所有者になりました。

                  ↓

O様のお母様が相続した土地にはお亡くなりになられたお父様がAさんに土地を貸し、賃料を受け取っていたものがありました。

                  ↓

O様のお母様は引き続きAさんに土地を貸すことになりましたが、O様のお母様は不動産の管理方法等がわからず、今後不動産の管理を継続し続けることも不安に感じておられました。

                 ↓

                                                                                    上記についてご相談

親が収益不動産をもっている場合に必要な対策とは

 以下では親が収益不動産をもっている場合に取れる対策について説明していきます。

 

収益不動産の売却

 賃料を得ている不動産の管理が難しいと感じられるのであれば売却を検討することも一つの対策です。

 

不動産の売却する場合はお近くの不動産業者に相談するのがといいと思われます。

また、借主に売却を持ちかけることも方法として考えられます。

 

不動産の売却・生前贈与場合、譲渡所得税・不動産取得税等の税金が発生する場合があるので注意が必要です。詳しくはお近くの税務署・税理士に相談するか、売却と税金関係、登記関係など全般をまとめて弊所に相談頂きのが良いかと思います。

 

任意後見を利用する

 任意後見とはご本人の判断能力が不十分な状態となる前に、ご本人が後見人を事前に決めておくという制度です。

 

任意後見人に与える権限もご本人で決めることが可能です。

例えば認知症になった時に備えて、後見人を決め、預貯金の財産管理や入院・施設の入所手続きをしてもらうという利用方法が考えられます。

 

 なお任意後見制度では、任意後見監督人への報告義務等があるため、第三者の介入を避けたい方は注意が必要です。

 

家族信託を利用する

信託とは、財産を、信頼する人に託し、自分又は他の人のために管理・運用してもらう制度です。多くの方が思い浮かべると思われるのが投資信託です。投資信託は信託銀行等が利用者から預かった金銭で有価証券(株など)や不動産などを運用しています。

 

今回ご紹介する家族信託は、自分の老後等に備えて所有している不動産や預貯金などを信頼できる家族に託し、管理等を任せる方法です。

 

家族信託は任意後見と比べると柔軟な財産管理が行える可能性があります。ただし、柔軟に財産管理をするには有効な信託契約書を作成する必要があります。

 

※もっと詳しく知りたい方は弊所のブログを参考にして頂くか、ご相談ください。

 

親が収益不動産をもっていたOさんの解決ケース

以下では司法書士法人やなぎ総合法務事務所でOさんとOさんのお母様にご提案させていただいた内容です。

 

収益不動産の売却・生前贈与のご提案

最初に現在、不動産を借りておられるAさんに買い取る意思があるか確認するよう助言させていただきました。

しかし、今回のご相談ケースの場合、Aさんに買い取る意思がありませんでした。

 

賃料を得ている不動産の管理はすべきことが多岐にわたります。

例えば賃料の回収・契約の更新・不動産の修繕等があげられます。

 

今回のご相談ケースの場合、Oさんのお母様はご高齢のためこれらの行為をすることが今後難しくなるおそれがありました。

 

また、将来不動産を売却するという選択肢も検討されておられましたが、いざ売却する際に、Oさんのお母さんの認知機能が失われ不動産の売買を行うことが難しくなるリスクもあったため、収益不動産の管理等や、売却手続きを家族に任せられる任意後見・家族信託を検討することになりました。

 

任意後見・家族信託のご提案

任意後見・家族信託を検討する際、Oさんのお母様にご希望をお尋ねしたところ自分のことは家族に見てもらいたいとの強いご希望でしたので、家族信託の手続きを進めることとなりました。

 

今回のケースの場合、家族信託の手続きで作成させていただいた書類は信託契約書・登記申請書などです。以下は、作成した書類のサンプルです。各書類についての詳細はブログ(https://osaka-kazoku-shintaku.jp/archives/1667)をご覧いただけると幸いです。

 

                                                                                                                            令和5年第     号

                                                                                                                                 信託契約公正証書

本職は,当事者の嘱託により,令和 年  月日,下記の法律行為に関する陳述の趣旨を録取し,本公正証書を作成する。

                                                                                                                                                                 本   旨

委託者 ○○ ○○(以下「委託者」という。)と受託者 ○○ ○○(以下「受託者」といい,第6条により後継受託者が就任した場合は,当該受託者を指して「受託者」という。以後の後継受託者についても同様とする。)は,将来の委託者の意思能力の減退又は喪失にかかわりなく生活の基盤並びに快適で幸福な生活・福祉の確保等,本信託契約第1条の目的達成を祈念して以下のとおりの条項により,信託契約(以下「本信託契約」という。)を締結する。

以下略

 

                                                                      登 記 申 請 書

登記の目的   所有権移転及び信託

原因      令和 年  月  日信託

権利者     大阪府○○市・・・

                              (信託登記申請人)○○ ○○

義務者     大阪府○○市・・・

                                  ○○ ○○

添付情報       

      登記原因証明情報     登記識別情報(登記済証)    信託目録に記録すべき情報

      印鑑証明書      住所証明書      代理権限証明書

      会社法人等番号

令和 年  月  日申請 大阪法務局 御中

代理人  大阪市阿倍野区阿倍野筋三丁目10番1号

           あべのベルタ 3009号

           司法書士法人やなぎ総合法務事務所

           代表社員 柳 本 良 太

           連絡先の電話番号 06-6643-8200

           (会社法人等番号 1200-05-020857)

課税価格 金 円

                    土 地  金 円

                    建 物  金 円

登録免許税 合 計 金 円

                        移転分 登録免許税法7条1項1号により非課税

                        信託分 金 円

                       土 地 金 円

                       建 物 金 円

その他事項 送付の方法により登記識別情報通知書及び登記完了証の交付を求めます。

                        送付先 代理人事務所

                        事前通知による手続きを希望する

不動産の表示       

 

登記原因証明情報

1 登記申請情報の要項

(1)登記の目的 所有権移転及び信託

(2)登記の原因 令和  年  月  日信託

(3)当 事 者 受託者 (住所)

      (氏名)

                 委託者 (住所)

      (氏名)

(4)不動産の表示 後記のとおり

(5)信託目録に記録すべき情報 後記のとおり

2 登記の原因となる事実又は法律行為

(1)委託者  と受託者  は、令和  年  月  日、本件不動産について後記信託目録に記載すべき情報のとおり管理又は処分を目的とする信託契約を締結した。

(2)よって、本件不動産の所有権は、同日信託を原因として委託者から受託者に移転し

   た。

令和  年  月  日 大阪法務局  御中

 上記の登記原因のとおり相違ありません。

 受託者 (住所) 

     (氏名)                   

 委託者 (住所) 

     (氏名)                    

不動産の表示

不動産番号 

所   在 

地   番 

地   目 

地   積 

信託目録に記載すべき情報

1 委託者に関する事項

  (住所)

  (氏名)

2 受託者に関する事項

  (住所)

  (氏名)

3 受益者に関する事項

    (住所)

  (氏名)

4 信託条項

(1)信託の目的

 委託者は,財産の管理,運用し,又は処分することを目的として,委託者の財産を信託し,受託者はこれを受託した。

 本信託契約の締結により,委託者及び受益者の意思能力が減退又は喪失した場合においても,円滑に委託者の所有不動産を管理・運用・処分し,受益者の快適な生活を維持することと将来の発展を願って信託されるものである。

 受託者は,本信託契約の受託者として,委託者及び受益者の快適な生活を確保し,本信託契約を最大限に有効的に活用し,委託者及び受益者の身上監護に努め委託者及び受益者が心身共に健やかに過ごせる環境を整えることを旨として任に当たるものとする。

以下略

 

まとめ

以上が、【家族信託事例】親が収益不動産をもっていたOさんの場合についてのお話でした。Oさんのお母様が家族信託を選択された結果、自身の判断能力が失われた後のリスクを回避でき、収益不動産の管理や、将来の売却に関する手続きを子供であるOさんにまかせることができました。ここまでのお話をまとめたものが以下の表です。

 

親が収益不動産をもっている場合の対策 ・収益不動産の売却・生前贈与

不動産取得税等の税金が発生する場合あり

・任意後見を利用する

家庭裁判所や任意後見監督人の関与がある

・家族信託を利用する

家族信託は、自分の老後等に備えて所有している不動産や預貯金などを信頼できる家族に託し、管理等を任せる方法

柔軟な財産管理が行える可能性があるが、柔軟に財産管理をするには有効な信託契約書を作成する必要がある。

親が収益不動産をもっていたOさんの場合 売却する際に、Oさんのお母さんの認知機能が失われ不動産の売買を行うことが難しくなるリスク

          ↓

Oさんのお母様からの、自分のことは家族だけに見てもらいたいとの強いご希望

 ↓

家族信託を利用・書類を作成

 

司法書士法人やなぎ総合法務事務所では、大阪(阿倍野区・阿倍野、天王寺)、東京(渋谷区・恵比寿、広尾)事務所にて「無料相談・出張相談」も受け付けております。どんな些細なご相談も親身になり耳を傾け、どのようなご依頼でもお客様のご希望、目的に近づけるよう励みます。お気軽にご相談、お問い合わせください。

 

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    • 土日祝日:10:00~18:00
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著者情報

代表 柳本 良太

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    <資格>

  • 2004年 宅地建物取引主任者試験合格
  • 2009年 貸金業務取扱主任者試験合格
  • 2009年 司法書士試験合格
  • 2010年 行政書士試験合格